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はぁと軽く溜息をつき、オレは自室のベッドへダイブした。
柔らかい感触がオレを包む。
冊子に書いてあった任務内容は
『盲目ヒットマンとの接触』
簡単そうな任務だが、冊子によれば、彼はもう何人も一般人を撃っているそうだ。
命懸けの任務。
そして、
オレにしかできないこと。
一通り冊子の内容を読み終わり閉じると、テーブルにおいてあるタバコに手を伸ばした。
ベッドに腰掛け、タバコに火をつけるとオレは煙を吐きだし、軽く息をはく。
『相手の攻撃がないかぎり、こちらからの攻撃は禁止』
冊子に書いてあった一文が頭に残っていた。
百発百中の凄腕野郎に先攻を譲るってのは、ちょっと厳しいな…………
そんなことを思いながら、オレはニコチンを体内に取り込む。
窓の外を見るとまだ明るい。
飯はさっき食ったばっかりだし、他にすることがない。
部屋を見渡して見れば、目につくのは壁にかけているグレーのコート。
任務に行くときは必ずこれを着ていく。
このコートは特別な布で作られており、多少の攻撃からの衝撃を吸収して威力を弱めるつくりになっている。命懸けの任務に行くオレにピッタリの防撃コートである。
また、この施設のことを知っている人間であれば、コートを着ているオレを見たとき、恐ろしいものを見たような顔で避けるように逃げる。
このコートは施設章が入ってるから、すぐにオレが施設の者だと分かるのだ。
全く、理不尽なはなしだ。
だがオレは別にそんなことなど気にしない。
誰がどのようにオレのことを思おうが、どうでもいい。
タバコを灰皿にこすりつけると、オレはベッドに仰向けに寝転がり軽く目を閉じた。
まぶたの裏に広がるのは暗い闇の世界。
闇と言ってもどこか安心できる闇だ。
光りの世界なんて偽りの世界に過ぎない、オレはそう思う。
はたから見れば、そんな考えはおかしいかもしれない。
だが世界には常に闇が存在している。
だから争い事がたえない。
光りの世界なんて一部に過ぎないのだ。
そんなことを思いながら、
オレはそのまま眠ってしまった。
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