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「レンー!いるかぁ?」
オレは厨房の中へ向け叫んだ。その声を聞いて出てきたのは、なんともやる気のなさそうな顔でくわえ煙草をしている、がたいのいい男だった。
こいつこそがオレがいるこの施設の料理長、杏仁師 恋治(アニシ レンジ)である。
恋治はだるそうにバンダナであげた頭をかきながらオレを見ると嫌な顔をした。恋治に嫌な顔をされるのは毎回の事なのでオレは軽く受け流しす。
「お前かよ……
どうせまた『今日の日替わり定食はなんだ』ってくだらないことを聞きにオレを呼び出したんだろ??」
大当り。
てか、あきらかに嫌そうな顔をするのはやめてほしいな…………
「そんな顔すんなよ……
いくら昔からの付き合いだからといっても今のは少し傷ついたぞ」
「昔からの付き合いだからといっても
俺はお前より年上だし、お前よりこの施設に長くいる。少しはオレの事を敬うことぐらいしたらどうだ………」
恋治の言う通り、確かに恋治はオレより4つ上だし、施設にもオレより3年長くいる。
口も目付きも悪い恋治となぜ仲良くなれたのかオレにもわからない。
だが、恋治はオレとどこか似ている気がする。恋治はそう思わないようだが………
そんな恋治との親しみを印して、いつからかオレは恋治をレンと呼ぶようになった。
「いいじゃんかよー。ところで今日の日替わり定食のメニューなに??」
恋治はため息をつき、まためんどくさそうに頭をかいた。
「卵とチーズのカルボナーラにミネストローネとパンかライスがつく。好みでコーヒーか紅茶もつく。」
聞いているだけで口のなかに唾がたまってくるのを感じた。
オレは迷わずそれを頼むことにした。
「じゃあそれ2つな♪パンでよろしく」
「コーヒーか紅茶はどっちがいいんだ?」
「どっちも紅茶。あ、一つはめっちゃ甘くしといて。レイリーのだから…………」
「了解……」
ついでにレイリーの分も持っていくとするか………
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