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こう人が多いと料理を運ぶのもままならないな………
そう思いながらもオレはなんとかレイリーの元へ来ることができた。
「ほらよ………
お前の分も持ってきてやったぞ………」
オレは多分疲れきった顔でレイリーにプレートを渡したのだろう。
レイリーは少し苦笑いをしながらプレートを受けとった。
「お、おつかれさん;;えっらい疲れきっとるなあ」
「オレは今日一日の体力を消耗したとおもう」
席につくや否や、オレはテーブルに上半身を預ける体勢になっていた。
レイリーはそんなオレの様子を見ながら特に気にすることなく飯を食いはじめた。
…少しぐらい「大丈夫か?」の声ぐらいほしいもんだな。
たく、脳天気ちび助め………
と言いたかったが、あえて言わずに心の中で留めていよう。
まあ………オレ、大人(自称)だしな。
「そういやぁさっき、スコールまっとる時にそこら辺にいた人になんでこんなに人が多いのかきいてみたんやけど……」
レイリーの言葉にオレは勢いよく上半身を起こした。
脳天気ながらもそんな事に抜かりがないのがレイリーである。
「で??なんて??」
「今、街中で噂の『盲目ヒットマン』ってもちろんしっとるやろ?」
『盲目ヒットマン』………
聞き覚えのない言葉だ。
第一、それがこの人の多さとなんの関係があるのだというのだろうか。
オレが首をかしげるとレイリーはびっくりしたような顔をした。
「しらへんの!?めちゃめちゃ噂になっとるやん!!
新聞でも今その話題で賑わっとるで!」
「え?そうなの?盲目ヒットマン………だっけ?何なの、それ」
多分、この時のオレはレイリーから見て、すっげー遅れている奴に見えたんだと思う。
呆れたレイリーの顔がそれを物語っていた。
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