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『盲目ヒットマン』………
そう呼ばれる男は
盲目ながら、狙った獲物を必ず仕留める百発百中の凄腕を持つという。
動いている標的も
1ミリの狂いもなく撃ち抜くというその男を
人々は『盲目ヒットマン』と、そう呼ぶようになった。
彼の世界は闇のはず………
なのになぜ百発百中なのか………
それは男にしか分からない謎。
男を知っている人々は
口を揃えてこういう。
『盲目ヒットマンに狙われたが最後……
命はない』
レイリーはいつになく真剣な顔でオレにそう語った。
オレはその話に夢中になり、食食べることを忘れてしまっていた。
料理は冷めきっている。
レイリーは食べ終わったのか、プレートの上に皿を重ねていた。
「その男について、この施設の隊員はいろいろと調査しよるらしいで………」
「だからあんなに忙しそうに飯食ってたのか……」
納得したオレは食べるのを再開する。
冷めきっている料理は少し味が落ちるが、恋治が作っただけあって苦にならずに食べることができた。
「スコールが室長はんに呼ばれた理由もその男に関係あるんとちゃう?」
レイリーが少し口角をあげた笑みでそういう。
確かにその可能性は高い。
隊員がその男についての調査をしているのならば、室長はオレにその男についての話をすることは間違いないはずだ。
「なるほどね………
じゃあ急がないといけないな………」
オレは急いで料理を食べ終え、プレートを片付けるとレイリーとともに食堂を出た。
「僕もいっていい?なんや、おもろそうやからな」
「どうせ嫌だと言ってもついて来るだろ……」
呆れ顔のオレをよそにレイリーはガッツポーズをとる。
何がそんなにうれしいのやら。そんなことを思いながらも、オレとレイリーは足早に室長室へと向かった。
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