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ギギギ……と脆い音をたてながらドアが開くと、部屋の中にいたのは長身の優男とその秘書の女。
レイリーは秘書を見かけたとたん、『やば…』っという表情をみせた。
先程、話していた『あの人』がこの秘書なのである。
そんなことなどオレは得に気にもせず部屋に入ると、レイリーも恐る恐るだが部屋へ足を踏み入れた。
優男は部屋に入ってきたオレたちをみるとにこっと笑った。
この優男こそこの施設の室長である、ラヴィ・サウジー。
軟弱そうな外見からは、この人が室長などということは分からない。
「お呼びですか?ラヴィ室長」
オレは柄にもなく真剣な顔でラヴィを見る。
ラヴィはまたにこりと笑顔になるとひょうきんな声で話しはじめた。
「なーに改まってるんだい?
別にそんなご丁寧な挨拶しなくてもさぁ………」
「……………ははっ」
思わず笑いが出るオレ。いくら改まってもこの人にはなんの意味もない。
こんな人柄の室長だからこそ、オレはついて行ける………前々から思っていたことだ。
「相変わらずだな、ラヴィ室長。」
「僕は変わらないよ」
またにこっと笑う。
オレもつられて笑顔になる。
「さて……、それじゃあ本題といこうか」
ラヴィは笑顔のままだったが、こちらに向けられた瞳は真剣だった。
オレもそれに答えるようにまた真剣な顔になる。
「『盲目のヒットマン』のことについてはしってるね?」
「………はい」
さっきまで知らなかったが、返事をするオレ。
そんな様子にレイリーは少し吹き出した。
「さっきまで知らなかったくせに………」
レイリーからボソリと聞こえた声に、オレはすかさずレイリーをにらむ。
レイリーはオレと目をあわさないようにそっぽを向いていたが、レイリーの今にも笑い出しそうな顔をしているのをみて苛立ちを覚えた。
おぼえとけよ、レイリー……そう心の中で叫ぶオレ。
レイリーはオレからの殺気を感じたのか苦笑いをした。
「それじゃあ話しは早い。今、その男について隊員達にいろいろと調査してもらっているんだ。」
「…………」
オレにはラヴィの言いたいことの大体の検討が着いていた。
「彼が盲目なのは調査で確信することができた。
しかし、盲目でありながらなぜ百発百中なのか……
その詳細は今だに確認できていない。」
ラヴィの顔からはとっくに笑顔など消えていてその顔に残っていたのは、室長としての威厳だけだった。
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