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  主人公は途中、腰の悪いお婆さんに出会った   その隣には首輪の着いた犬がいた どうやら飼い犬らしい   「腰が悪くなければ、この子と一緒に駆け回ってやるのにねぇ」   お婆さんは何度もぼやく   主人公はお婆さんに手をかざした   あの光がお婆さんの身体を癒す   すっかり調子の良くなったお婆さんは主人公に礼を言って、飼い犬と共にその場を去るのだった   「あの人はきっと勇者様なんだろうねぇ」       あれから1週間   何の刺激もない生活を送っていた男はまた同じコンビニで立ち読みをしていた   今週掲載されたこのお婆さんも男の知り合いだった     数ヶ月前、男が通っていた接骨院の常連のお婆さんで、いつも男に「腰が悪くなければ飼い犬と」と愚痴を溢していた   名前は知らないが、顔だけはハッキリと覚えている   垂れそうな頬に、開いているのか分からない目   まさに自分の描いた漫画の中にそのお婆さんはいる   男はコンビニを出た   もう癖なのだろう   ビルのスクリーンをしばらく眺め、家へと帰っていった
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