打ち切り

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「そんな!だってこれじゃ!」   昼時のいい時間   そのカフェの中は人で埋まっていた   人目もはばからずに大声を上げ、立ち上がる男に誰もが目を向ける   男は周囲の視線に気付いたが、後には引けまいと頑なに姿勢を保つ   「まぁまぁ落ち着いて」   向かいの男は何事も無いかのように煙草に火を点ける 「…取り敢えず座ってくださいよ」   座るきっかけを得た男は素直に腰を下ろす   「僕は小島さんの言うように進めてきたんですよ?それなのに不評だとか…」   「ちょっとちょっと…それじゃ私が全部ストーリーを考えたみたいじゃないですか。私はあくまでも担当としてアドバイスをね…っと」   小島は慌てて、落ちそうになった灰を灰皿へと落とした   「仕方ないじゃないのよ。俺も上からの命令に従うしかないの。それが社会なの。君も分かってるでしょ?この嫌なシステムってのはさ」   男はただ黙って落とされた灰を眺めていた   「最後ぐらい君の好きにやるといいよ。打ち切りまでは誰にも文句言わせないからさ。漫画家としての腕の見せ所だよ」     男が見ていた灰の上に、小島は煙草を押しつける   「さてと…伝えることは伝えたし、もういいかな?」   「…はい」   小島はニヤッと笑い、男の片に手を置く   「期待してるからさっ」   それだけ言って店を出ていってしまった   テーブルの上には灰皿とくしゃくしゃになった煙草、空のがカップ二つ   そして透明な筒の中の紙きれ一枚   数分後、男はそれを手に取り、レジへと向かった
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