掃除屋 バロ

4/7
前へ
/14ページ
次へ
ここまでの経緯であるが、依頼主の電話を受け取ったバロは、すぐさま近くの喫茶店を指定し、そこで実際に会って話しをすることになったのである。 依頼主の男が約束の時間通りに着き、待っていると時間より少し遅れてバロがやってきた。 そこでバロは自分が掃除屋であることを生い立ちを含め話しをして、いよいよ本題である掃除の話しに入ったのである。 男の依頼を聞いたバロが話し出す。 「なるほど…しかしそもそもなぜそんな大金を?」 「私は小さいですがこの町の工場の社長でした…ですが経営の悪化から工場をたたむことになってしまい、その店舗を売り払ってその金を作ったのです。その金は今まで少人数でも、頑張ってやってきてくれた社員に対しての餞別にしようと思ってたんですが…」 ここまで話したとき男の顔が赤くなり、怒りに震えだした。 「その大切な金を…奴らは嗅ぎつけて力ずくで持ち去って行きました。私は…奴らを許すことが出来ない。こんな世の中でも一番下の底辺で、最低クラスの生活で頑張っている私たちなのに…」 男は怒りのあまり、今にも倒れそうであった。 「そうですか、気持ちはよくわかりますよ…まあここは一つ私に任せて下さい。」 バロは男をなだめながら、力強く言った。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加