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目を向けたそこに純白の翼があるのを夢想して。
――うんうん。
…ただ、成る程、と。
あまりにもしっくり来すぎているもんだから、笑みがこぼれた。
視線の先には頭の中に描いた翼と同じぐらい…いや、もっと白い、白くて透明で、綺麗な背中。
――もしこの何処かに翼が生えたとしたら、それはどの辺りだろうか?
生えてくることなどないと分かっていても、自分の中のロマンチストな部分がついそんなことを考えてしまって。背中に張り付く漆黒の空の、そのあちこちに指先だけで見えない翼を創ってみた。
――ここか、?……いや、ちゃうなぁ。
上から下へと目まぐるしく場所を変えてみたり、大きいものから小さいものまで――とかく様々な翼を脳内のキャンバスに浮かべては忠実に写しとる。だけど結果、どれも想像した『あの翼』とは程遠く、自分自身の思いとしては寧ろ真逆を行っていた。
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