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彼を頼っても良いものかと。思いきって甘えるべきなのか、ひどく迷った。
寂しい、と紡ぎ出してしまえば心地は一気に楽になるだろう。だけど、意地っ張りなもう一人の『きみたか』がそれを許さない。頼らざるを貫かんと必死の抵抗でふんじばる。
あたたかな彼の胸と、腕にくるまれれば不安なんてたちまちどこかへ飛んでいってしまうというのになぁ。
ツマラナイ強情も、プライドも、今はいらない!いらない!だから、だから早く来てほしい。…それだけ。
「――ひな、たすけ、て、」
泣きすぎで渇ききった喉の奥底から振り絞る様に出した、わずか6文字のSOS。
『……きみ。…どないしたんや、?』
――、うん。…あんなぁ。俺、ごっつ寂しいねん、ホンマに、…悲しいねん。
「あの日のこと、また思い出してん。……無理して作り笑いしとったけどさぁ、内心、だいぶキツかった、」
電話越しのひなは、ずっと黙っていた。聞いていてくれた。
永遠に逢うことの出来ないはずなのに。スーパーマンだった、大好きだったじいちゃんに逢いたいだなんて、一生叶わないわがまま。
「……ごめんな、ごめんなぁ……、」
――あかん、泣きそうや。
「きみ、」
さっきまで冷たかった全身に急に温もりを感じて見上げたそこには、ひな。
「…………ひな、ひな、」
確認みたいに名前を呼んだら、ぷつん。何かが切れて、熱い涙がもうトマラナイ。
「……ひな…ひ、な、」
「アンタには『大切な仲間』がおんねから、な?」
やからアンタは笑っとり、と頭を撫でられた。
「……もぉ。ほら、そやっていつまでも泣いとったら天国のじいちゃんまんに示しつかんでぇ、」
(ごめんなじいちゃん。さいごまで、がきんちょで。)
あの日居なくなったじいちゃんまんと目の前に居るヒーロー気取りは、よく似ていたから。
俺は、笑った。
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