20人が本棚に入れています
本棚に追加
「それじゃあ。」と言って、健吾と実咲は帰って行った。それを見送る優介と美愛。
「幸せそうだね、あの二人。」美愛が口を開いた。
「そうだな、一時はどうなるかと思ったけどな。」
「うん。じゃあ、あたしもそろそろ行くね。」そう言って美愛が一歩二歩と踏み出した。
「あのさ。」優介が呼び止める。思わず美愛もドキッとした。「あ…いや、気をつけて帰れよ。」優介は他にも言いたい事がたくさんあった。だが、それらは全て、喉のあたりまで出て来ては、また戻って行ってしまうのだった。
「うん。」とだけ言うと、美愛は元のように歩き出した。そして、その後ろ姿を見ながら、優介はまたもやどうでもいいことしか言えなかったことを後悔しているのであった。
最初のコメントを投稿しよう!