はじめの一歩

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その後、あっという間に三月の末を迎え、あの桜並木では桜のつぼみが膨らみ始めた。 そして、出勤最終日の終業のチャイムが鳴った。 「はぁ、これで最後かぁ…」デスクで美愛は呟いた。 「そんなつまらなそうな顔しないでよ、パリだよ、パリ? 大出世もいいとこだよ? もっと楽しそうな顔しないさいよ。こっちからしたらうらやましい限りなんだから…」  実咲が美愛の顔を覗き込む。 「うん…そうだよね…」そして美愛は再びため息をつくのだった。 「ほらほら、パーッといこっ。今日は美愛の送別会なんだからさ。」 「そうだね、よしっ。行こう!」  こうして二人は立ち上がり、送別会会場という名のいつもの居酒屋へ向かうのだった。
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