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そして帰り道。帰り道が同じ優介と美愛は、必然的に二人きりになった。だが、お互い一言も発することができない。
「なぁ、」先に発したのは優介だった。「なんで言ってくれなかったんだよ。」
「…」
「あれだけ一緒にいたんだから、一言くらい言ってくれたってよかったじゃないか。」
「ごめん…」美愛はそれ以上の言葉を発することができなかった。
そして、再び二人の間には沈黙が流れた。
「本当はね、」今度は美愛が口を開く。「言おうと思ってたんだ。でもね、二人で楽しく過ごせたから、言えなかった。理由は…私にもわからないけど…」
「うん…」優介はまだ心の整理ができていないようだ。
そして、また沈黙。
「いつ、帰ってくるんだ?」優介が聞いた。
「まだ、分かんないな…」美愛は曖昧に答える。そして、
「あ、高沢くん、もしかして寂しい?」美愛は冗談交じりに笑いながら尋ねた。
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