第一章 懐かしき人

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  「もうそろそろ夏休みになるから、それを利用してみたらどうだろう?」 討魔の言葉に一茶は「それだ!」と叫び声をあげた。それを聞いて、教室に残っていた数名の生徒が討魔達の方を見て、クスクスと笑った。 藍川と影宮は気付いていなかったらしく、まだ二人で騒いでいた。 「討魔はどうする?」 「?」 一茶の質問の意味が分からない討魔は首を傾げた。 「討魔は夏休みに暇はあんの?」 「基本的にオレに暇はない」 討魔は一拍置いてから 「夏休みにも仕事はするし、仕事がない日は調べものをしたり、鍛練をしている」 「調べものって?」 「………いろいろと、な」 討魔は無表情で言ったが、その声に一茶は『憎しみ』が出ているような気がした。
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