第一章 懐かしき人

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  「な、何故って………討魔っていつも購買だから……栄養が………えっと……その……だから……」 自分が何を言いたいのかが分からなくなってきた影宮は「うわぁー!」と髪を勢い良く掻きむしり、討魔の机の上に両手を叩きつけた。 「理由を聞くんじゃないの!明日から毎日作ってくるって言ってるんだから了承しなさい!分かった!?」 『交渉』から『ごり押し』にクロスチェンジした影宮の行動を見た藍川は呆れていた。 「わ、分かった」 討魔は影宮の勢いに少したじろいだ。影宮はそんなことは気にも止めず「よし!」とガッツポーズを取っていた。 (う~ん。最終的に成功してるから結果オーライ……なのかな?) 藍川は影宮を見ながらそう思った。実は先ほど、影宮と藍川が話している時に、藍川が影宮に「どうせなら明日も作ってくるって言っちゃいなよ」と影宮の恋路の後押しをしていたのだ。 「いいな~討魔の奴」 一茶が羨ましそうに見ていたことに二人は気付いていなかった。
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