序章 物語の速度は遅くなる

2/3
前へ
/321ページ
次へ
歓迎会の後片付けが終わって、討魔と影宮は第一修練場で組み手をしていた。 「ハアァァァ!」 影宮は渾身の突きを討魔の腹部を狙って放つ。だが討魔は、兼光を下向きに払って神凪の軌道をずらした。 (ヤバッ!) と思った影宮は討魔と距離を空けようとしたが、不安定な体勢で横っ飛びした為、そのまま転倒した。 「立つのが遅い」 と言った直後、討魔は影宮の顔の直ぐ横に兼光の刀身を突き立てた。 「また……負けた」 影宮は仰向けに倒れた状態のままで、悔しそうに討魔を見た。 討魔は兼光を地面から引き抜き、鞘に納めながら 「5勝0敗でオレの勝ち。「天神解を習得した私なら、かすり傷くらいつけれる」って自信満々に言ったのにこの様か」 「うっ…」 「それに、ハンデもつけて闘ったのに完敗とはな」 グサグサッ!と討魔の容赦無い言葉攻めが影宮の心に降り注いだ。
/321ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1842人が本棚に入れています
本棚に追加