序章 物語の速度は遅くなる

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  「ふーんだ。どうせ私に戦いのセンスなんて……」 全て事実な為、影宮は反論できずに修練場の隅っこでいじけてしまった。 「神器とログと…チカラも使ってなかったのに負けるなんて………はぁ~」 どんよりとした空気が影宮の華奢な体から出てきた。 (少し言い過ぎたか?) 討魔は影宮の近くに行き、フォローすることにした。 「そう落ち込むな。確かにお前は負けたが、半年前よりかなり強くなっている。正直、驚いた」 嘘は言っていない。先ほどの突きも、チカラを使っていない状態で正面から受け止めていたら、兼光は確実に折られていた。 だからこそ討魔は、一番安全な側面を狙って軌道をずらしたのだ。 「えっ!?本当?」 予想外な討魔の発言に影宮は目を丸くした。 「あぁ」 ぶっきらぼうな返事だったが、影宮はその一言で笑顔になった。 「そろそろ帰りましょ」 影宮は立ち上がりながら言うと、討魔はもう修練場から出ようとしていた。 「ちょっと!待ちなさいよ!」 影宮は叫びながら討魔の後を追った。
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