1842人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋から出た討魔と影宮はそのままオーランドから神器とログを受け取り、ロンドン塔を出た。
「討魔、大丈夫?」
ディズの名前を聞いて、復讐に身を投じた討魔が冷静のままでいられるはずがない。
そう思った影宮は彼の背中を見ながら尋ねた。
「利用されたんだ」
ボソッ、と討魔は影宮の問いに答えずに呟いた。
「悪魔の契約書はディズが盗んだんだ。そしてそれを神崎に渡し、オレと殺し合うように仕向けたんだ」
つまり、ディズは『操り人形(マリオネット)』で天崎栄助を操って地下の鍵を外し、悪魔の契約書を奪取。
そして司に、悪魔が人間に取り憑く時に使用する共通技『悪魔の囁(ササヤ)き』を使って司を復讐の道へ引きずり込んだ。
司と討魔は、ディズが作ったシナリオの中で踊らされていたのだ。
「神崎は、曲がったことが嫌いで、自分の心に嘘を吐けない奴だった。そこをディズに……利用されたんだ」
爪が掌を裂くほど力強く握り締めた討魔の手から血が垂れてきた。
「絶対に許さない。玲奈の時だけでなく、神崎も巻き込んだディズ・エルナマスを……塵も灰も、一つ残さず焼き殺してやる」
そう心に誓いを立てた討魔は、静かにその場を去っていった。
最初のコメントを投稿しよう!