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「辛かったね」
栄助の慰めの言葉に「いや」と討魔は首を横に振った。
「オレよりも伊坂が一番辛いと思う」
立て続けに友達を日常から失い、しかもその原因がどちらも討魔にある。
それなのに伊坂は討魔を恨まない。文句の一つでも言いたいだろうに、一言も言わずに胸の中に閉まっている。
そんな伊坂のことを考えたら「辛いのは自分なんかではなく伊坂なのだろう」と討魔は思っていた。
(……伊坂の支えになってほしいと、影宮に頼んでみるか)
アイツなら何とかしてくれるだろう、と考えていると
「討魔、何か良いことでもあったのかい?」
いきなり栄助がそう訊いてきた。
「何故そんなことを訊く?」
わけが分からない討魔は首を傾げた。
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