終章 八月二十一日

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  「いや。最近のキミ……って、まだ再会して二回目だけど、何だか玲奈がいた頃以上に良い顔をしているから」 「そう…なのか?オレにはさっぱり分からない」 そう言いながら討魔は頭を悩ませた。本当に分からないらしい。 「それはそうと、あの二人はどこにいるんだ?出かけているのか?」 「あぁ。里子は買い物に、琴奈は補習があるらしい」 里子(サトコ)とは栄助の妻のことで、琴奈(コトナ)とは玲奈の妹のことだ。 「そうか。……それで、里子さんと琴奈はやることをしているのに、アナタは仕事もせず何故ここにいる?」 ビクッ!と栄助の肩が揺れた。 「そ、それはだな。今日が玲奈の命日だからであって、決してサボっているわけでは……」 「ならば何故、図書館の受付係の人は『館長は風邪で休み』だと言っていたんだ?」
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