終章 八月二十一日

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  「なっ!討魔、まさか国立図書館に行ってからここに来たのか!?」 「アナタがいると思っていたからな」 「ぬっ……うぅ………すまん」 言い訳するのは無意味だと分かった栄助は白状した。 「まったく。館長職が大変なのは知っているが、仕事は仕事だ。きちんとやれ」 「はい。すいません」 (ったく。これではどちらが大人なのか分からないな) そう心の中で愚痴った討魔は溜め息混じりに立ち上がった。 「おや?もう行くのかい?もっとゆっくりしていけばいいのに」 「いや、遠慮しておく。少し小うるさいのを待たせているんだ」 「小うるさいの?それは鳴海ちゃんが言っていた影宮穂香って子かい?」 「あぁ。まだまだ世話のかかる、半人前な祓魔師だ」 そう言って嘆息を吐いた討魔は家から出た。
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