終章 八月二十一日

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家を出ると、天崎家の近くにある電柱の下に影宮はいた。 「意外と早かったわね。もう少しゆっくりしててもよかったのに」 討魔が出てきたのを確認した影宮はそう言いながら肩を竦(スク)めた。 「そう言っておきながら、お前の顔には『早く玲奈の話を聞きたい』としっかり書いてあるぞ」 「えっ!嘘!?」 「嘘だ」 さらりと、討魔はあっさり嘘を吐いていたことを自ら暴露した。 「ア、アンタねぇ……!」 文句を言おうとした影宮だったが 「早く来い。置いて行くぞ」 影宮が何かを言う前に討魔は歩き出した。 「あっ!ちょっと!待ちなさいよ!」 彼女は叫びながら、討魔の後を追った。
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