終章 八月二十一日

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歩き出してから一時間後。二人は町外れにある山に来た。 ここは影宮も知っている。いや、この近辺に住んでいる人間なら知らない人は少ないだろう。 ここは、今から三年ほど前にあった山火事のせいで立入禁止区域となっている山だ。 二人は今その山奥にある、フェンスで囲まれた立入禁止区域の目の前にいる。 「こんな所に一体何の用なの?」 「着いたら話す」 それだけ言うと討魔は何の躊躇いもなくフェンスを退かし、立入禁止区域の中に入って行く。 「ちょっと討魔!なに勝手に入ってんのよ!見つかったらどうするつもり?」 とか言いながら、影宮も中に入って行く。 「ここには毎年この時期に来ているから問題ない」 (? 毎年この時期に?) 疑問に思った影宮だったが、黙って彼の後をついて行くことにした。
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