終章 八月二十一日

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しばらく歩くと、山火事で見晴らしが良くなった、未だに焼け焦げた後が残っている場所に着いた。 討魔は、生き残っている木の根元に腰を下ろした。影宮も続いて隣に座った。 「今から三年前の今日。オレはここでディズと戦った」 「えっ!」 突然話し出した討魔と、その内容に影宮は驚いた。 「ここは……玲奈が死んだ場所なんだ」 更に驚いた影宮は目を丸くした。 玲奈のことを知りたいとは言ったが、まさか玲奈が死んだ場所に連れて来られるとは思わなかったからだ。 「ここで、玲奈さんが……」 影宮は自然と、目の前に広がる焼け焦げた空間を見た。 何で死んだのだろうか。 死ぬ時に何を思ったのだろうか。 怖くなかったのだろうか。 未練はなかったのだろうか。 そんな答えが出せるかも分からない疑問が影宮の中に浮かんできた。
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