サンクチュアリ

10/41
前へ
/44ページ
次へ
夢。私は夢と現実の区別がつかない。 だから眠っていてもそれは夢なのかなんなのか、分からない。 いま、この瞬間も夢なのか?…分からない "目を見開けboys! 目覚めよgirls!" あの影は誰なのか、視えない。 * ―――ハエ叩きで叩かれている。そんな気がして目を開けた。 「?!」 「終点です、お客様」 目の前には目をパチクリとさせ、私の肩をペチぺチと叩いている運転手さんがいた。ハエ叩きの犯人か…! 「え?終点…?赤珠大学…?」 「そうですよ、赤珠大学です」 飛び起きると運転手さんと頭がぶつかった。 「痛ッ」 「……ッ」 「…なんか、色々とすみません」 「…ッいえ、平気ですッ」 相当痛かったのか顔をしかめている。本当にごめんなさい。 「お客様は、赤珠大学でよろしかったのですか?」 「はい。ここで降りる予定でした」 「そうですか。気をつけていってらっしゃいませ」 「ありがとうございます。…また、会いにきます」 運転手さんの笑顔に答えるかのように、私は手で金のマークを出して駆け出した。 …私は、後払いのことなんか知らなくて、お金を払っていなかったのだ。 まあいいや。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加