サンクチュアリ

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「ふふ…」 ああ、やっぱり。昨日テレビで見た髪の長い幽霊みたいだ。 道案内してくれるのは助かるけど、ちょっと恐い。前髪の隙間からたまに見える眼なんて恐いなんてものじゃない。 「どんな感じの本が好きなんですか?」 「恋愛系ですかね……純愛が大好きです…」 純愛… 「セカチュー…?」 「はい…大好ぶ…大好きです……」 大好物って言おうとした!なにこの人恐い。 「ここの図書館は品揃えが良いですから…探している本は…あると思います」 「あ。…この本って、マニアックですか?」 題名が書いてある紙を渡す。 「…私も読みましたよ…」 「え」 まさかの回答に驚く。 「これって、面白いんですか?」 「…面白いですよ……大地はこんなことを考えていたのか…と…考えさせられる本でしたね……」 「大地って……何か考えているんですか?」 「えぇ…色々と……」 私には分からない。というか、まず大地自体がよく分からないのだけれども。 「…この本をお探しなのですか……?」 「はい。友達がどうしても読みたいと言うので代わりに借りに来ました」
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