サンクチュアリ

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「…結、女の子なんだから」 美樹も隣の男子の微笑に気付いたらしく、耳打ちをしてきた。 イヒヒ、と笑うと美樹はため息をついた。 「結ってホント能天気だよね。羨ましい」 「?」 「来週のテストのことも、忘れてたでしょ?」 「テスト?」 「先生がテスト範囲とか言ってたじゃん。聞いてなかったの?」 ここ二週間の記憶を遡ってみる。 ………授業中はほとんどdream worldに行ってたな…。 「うん、全く」 「私が言わなきゃノー勉で受けるつもりだったでしょ?」 「美樹が教えてくれてもノー勉だけどね!」 「赤点とったら留年って知ってる?」 「うん、それでもやらないよ」 得意気に口笛を鳴らす。 「…私があんただったらどんなに良いことか」 「そんな…あたしが何も考えてないみたいに!」 「実際そうじゃないの?」 む、と口を尖らせる。 あたしだって、色々と考えてるもん。 夕飯のこととか……変わらない毎日のこととか。 前者は置いといて、後者は能天気な人には考えられないはず。 あたしだって、無能なわけじゃない! 不満を心の中でブチまけると、不思議と気持ちが澄んだ。
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