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美樹からお金を受けとり、指定されたバス停へと急ぐ。
訳の分からないぐねぐね道で余所見をしていると転んでしまいそうだった。
陽気に鼻唄なんて歌いながら歩き出す。
「…ここ?」
赤珠大学行き。そう書いてある。
見渡せば家などは何もなく、木々しかなかった。
「恐いな~」
早く帰りたい…。
もう泣きたくなってきた。
こんな頼まれ事がなければ、今ごろ部活で青春の汗を流していたのに…。
美樹の用事ってなんなの?
自分で行ったほうが手間かかんなくて良いんじゃないの?
しかも用事があるなら今日じゃなくても…
「乗りますかー?」
声をかけられ、ハッとすると前にはもうバスが止まっていた。
「すいません乗ります!」
冷や汗を垂らしながらバスに駆け込んだ。
すいません、とまた運転手さんに一礼をする。すると、運転手さんはにっこりと微笑んだ。
イヒ、と笑うと二人掛け席に腰をかけた。
見渡すと、あたしの他にはおじいちゃんおばあちゃんが乗っていた。
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