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人混みジャングルの中、汗を滝のように流しながらダルそうに空を見上げる少年が一人
少年は目を覆う程伸びた前髪をうっとうし気にはらうと、はぁと短く溜め息をついた
「………。」
夏は嫌いだ
暑いし、蚊はいるし、プール開きはするし、海開きはするし
脳内でありったけの不満を吐き出しながら少年は頬を伝う汗を乱暴に手の甲で拭った
歩く度に揺れる長い髪の間から見える目付きは鋭く吊り上がっている
別に怒っている訳ではない、生まれつき目付きが悪いのだ
幼い顔立ちとは裏腹の目、そして耳に開けたピアス
それらのせいもあり、彼を世間の目は不良だと認識している
「………。」
夏は嫌いだ
暑いし、蚊はいるし、プール開きはするし、海開きはするし
それに…
「………。」
もう十年になるのか
少年は脳裏によぎった忌まわしい過去を記憶そのものから振り払うように強く頭を振ると、再び目的地である祖父の家を目指した
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