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ようやく彼が口を開く。 「ごめん、昼休みなのに。……こんな時でもないと、なかなか、二人になれなくて…」 見ると、時計は既に昼休みに入って十分以上が過ぎていた。 着替えないとだし、次の授業は理科室だし、お昼ご飯はゆっくり食べられそうにない。 「俺、2年の時から、その、知ってた、鷹野のこと」 「…うん。夏休みの補習で席、近かったもんね」 「え、覚えてた?」 そりゃ、まぁ、と私が曖昧に応えると、彼は嬉しそうに笑い、後ろ頭を掻いた。 その仕草が可愛らしく、私は爽やかな人だな、きっとモテるんじゃないかな?バレンタインとかいっぱい貰ってそう、などとどうでもいいことを考えた。 「それで、あの…」 いよいよ、と思って、私は身を硬くする。 「俺、鷹野の…」 「鷹野ぉ!」 私は驚き、その声のした方に振り向く。 制服のズボンに柄ティーシャツを着た長身の男が走ってくるのが見えた。 私は気付かれないように息を吐き、横目で彼を見る。彼はさっき言いかけた口のままで固まっていた。
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