777人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
「ちゅーか、そういうあんたはどうなん?」
ひなはニヤリと笑うと小指をぴこんと立てて言ってきた。なんやこのキャラ。めっちゃうざい。
「…出来ひんわ」
「なんやねんお前。まだ恋しないんか。アイドルなんやから一声かければみんな寄ってくるんちゃうの?」
「おい!」
「巨乳で可愛くて年上の人やろ?んなもんいっぱいいるやん」
「ちゃうて!」
コイツ、本当は俺が恋をしない理由を知ってる。きっとからかってるだけやろう。しんみりゆうたら俺が傷つくから、笑いを入れて柔らかく聞いてくれてる…はず。
そして俺はなぜか辺りを見回してりょうが聞いていないかを確認した。りょうは今撮影中だったからいない、とわかると引きつった肩がほぐれた。
てかなんでりょう?
「バカゴリラ!」
「あでっ!」
「しんごさん!?」
ひなの頭を叩くと、ひなの彼女さんが登場。そう、柔らかい笑顔のまるや。
「今のはしんごさんが悪いですよ!本当の恋は時間をかけてゆっくりと探すものです!」
そう言って目を輝かせたまる。ほら、めっちゃいい子やん!ゴリラには勿体ないわ!
「まる、ありがとな」
「いえいえ!あ、ゆうちん!次ゆうちんの撮影やで」
「まじか!ありがと!」
「はーい」
俺はまるに手を振ってひなに睨みを利かせ楽屋を出た。
撮影中、なかなか集中することは出来なかった。
ひなの言葉が頭を巡っていたから。
(まだ恋しないんか)
ちゃうわアホ。俺はしたくても怖くて出来ないんや。
あんな思いもう二度としたくない。
、
最初のコメントを投稿しよう!