紫色の優しい彼。

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目覚ましい、朝。 鳥がさえずり、朝日はゆっくりと俺達の身体を暖める。 もぞりと布団の中で蠢(うごめ)く俺は重い瞼(まぶた)をゆっくり開けた。 目の隙間から入り込む光は優しいはずなのに、今は俺の目を焼こうとする。 起き上がりながら目を擦り、眠気を覚ます。 ふわぁ、と大きな欠伸をして。 俺の一日はようやく始まりを告げる。 夏の朝は蒸し暑い。 蝉が鳴き散らす外は煌々と暑い日差しが差し込まれているようだ。 俺は手早く制服に袖を通し、パンを口にくわえる。 もごもごと食べながら冷蔵庫へ向かい、牛乳を取り出す。 古典的、といえばそうだろう。 毎朝の風景、といっても間違いではない。 そんな日常が、俺は好きだった。
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