紫色の優しい彼。

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するとその状況を見てリンとレンも交ざろうと近づく。 「がくぽん、おんぶー」 駄々をこねるように、子猫のような目を麗せながら。 リンは届かない手をがくぽに伸ばした。 するとがくぽは 「あぁ、はい。リン殿」 と優しくしゃがみ込んでくれた。甘えたリンは背中に飛びついた。背の高いがくぽの目線になれるのは楽しいのだろう。 リンははしゃいだ様子でとても楽しそうだ。 あぅ、と胸を打たれる気持ちになる。 がくぽは優しすぎるのだ。 (なんか…腹立ってきた…) むかむか。 いらいら。 押さえられない憤り。 するとがくぽがこちらを向いてきた。 「会長殿!皆であっちで話そうと言っておるのだが…一緒にどうですか?」 にっこりと、笑う。 その優しさは、俺だけに向けられているのではない。 これが、がくぽなんだ。 特別なんてない。 名前だって、呼んでくれない。 皆のことは、名前で呼ぶのに―…
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