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「…んだよ…何なんだよ……!」ぎゅぅ、と手の平を握る。
泣き出さないように。
つん、と痛くなる鼻の奥。
熱くなる、目頭。
その全てが、お前のせいだというのに。
ばっと顔を上げ、きつく睨みつける。
その瞬間、俺は正気に戻った。
がくぽは、酷く、傷ついた顔をしていたのだ。
眉を寄せ、今にも涙を零してしまいそうな。
「――…」
でも。
今更自分のしてしまったことを取り消せるはずがない。
すぐにでも謝ってしまいそうな心を閉じ込め、俺はぼそりと呟く。
「…馬鹿野郎」
そして、ぱきりとなった硝子に目も暮れず、俺は教室を出るため走り去っていた。
走り去っている途中で、がくぽが俺を呼んだ気がしたが俺は気にせずに走り続けた。
だって、抑え切れなくなった涙が、目から溢れていたから―
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