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「あれぇ…何をなさいます。」
目を醒ました娘は悲鳴をあげて抗ったが、力の強い男達が相手ではひとたまりもなかった。瞬く間に身動きできないように縛り上げられてしまった。
「これは何かのお間違いです。私は狐などではありませぬ…」
縛られて転がされた娘は必死で訴えたが、長者さまも家中の者も皆聞く耳を持たなかった。
「たぶらかされるでないぞ。それ口が利けぬように猿ぐつわを噛ませてしまえ。」
長者さまがお命じになると、男の一人が法師さまが用意した経文の書かれた布で娘の口を縛めに掛かった。
口に布を詰められた上に布を噛まされ鼻の上まで布で巻かれてしまった娘はもう低く呻くことしかできない…
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