プロローグ

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パパも……雄司も。 みんなみんな一緒。 みんなみんな……大嫌い。 あたしはもう二度と 誰も信じようとしない。 もう誰とも 付き合ったりするもんか。 あたしは昇降口で靴を履き替え 帰りたくもない家へと歩く。 はいた息が白くて。 指先が冷たくかじかんで。 あたしは冷たくなったカイロを 指先でこすり合わせた。 「なんで冷たいのよ……。 バカ。」 もうすぐ中学生も終わる。 この春からは 新しい生活が始まるんだ。 高校生になって あたしの生活はどうなるんだろう きっと男を嫌って。 今までと同じように 暮らしていくんだろう。 「がんばれ……あたし。」 この時のあたしは――… この先起こる運命を ちっとも予想していない。 まだまだ 本当の恋を知らなかった。 涙する恋を――… まだ知らない。    
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