1話 なれなれしい男

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あたしと雄司は 高校生になってから ずっとこんな感じ。 付き合ってた頃みたいに 仲良く話したりもしない。 もともとあたしは 無口な方だけど―― あたしは仲良くなろうと 努力してた。 だけどもう今は そんな気持ちさえ抱かない。 なのに雄司は――… あたしを見かけると 話しかけてくるみたいで。 それさえも やめてほしかった。 男の人にあたしは――… いい思い出なんて 一つもないから。 「お前…… そういう言い方ねぇだろ。 もっと気遣った言い方 できねぇのかよ」 「…………」 あたしはいつものように 無言で雄司の隣を通りすぎる。 その時――… 雄司はくすっと笑って言った。 「お前、 そのダサい格好どうにかすれば? 莉緒なんてイマドキな名前。 明らか名前負け。」 相変わらず…… 最低なヤツ。    
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