1話 なれなれしい男

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「いいぞー。 じゃぁ……こっちの女子! 順番に引いていけ」 そう言ってすぐ つらつらと女子が並んで くじを引いていく。 あたしはだいたい 真ん中くらいの順番で。 あっという間に くじの前に立った。 「お前って本好き?」 「……はっ?」 あたしがくじの箱に 手をつっこんだ瞬間 桜井君がそう問いかけてきた。 「だから、本。好き?」 「あ……う、うん」 「……そ」 「…………」 「…………」 「……なに固まってんの? 早く引けよ」 「え?あ…ごめ…」 そう言われてはっとした。 あたしはすばやく 1枚の紙を引く。 急に話しかけてきたりするから 思わずぼーっと してしまったあたし。 あたしはくじを引いて 自分の席に座る。 四つ折りにされた紙を開くと…… そこには“12”と書かれていた。    
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