1話 なれなれしい男

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これは当たり?はずれ? もはやどっちかわかんない。 この12はただの数字だから。 あたしはその小さなメモを ぽいと机に投げ 小説を開いた。 “本、好き?” 桜井君はなぜそんなことを 聞いたんだろう? 朝の女が言ってた通り―― あたしが文学少女に 見えるから? あたしの目は珍しく 活字を追わず一点を見たまま 止まってた。 「みんな引いたな? じゃ今から言う番号を引いた奴が 俺のパートナーな!!」 そう言った桜井君は にっと笑った。 「…………」 ……え。なに。 いやな予感。 だって―― 桜井君が すっごくあたしを見てる。    
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