1話 なれなれしい男

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……はめられた。 これはあたしの勘。 勘があたしに教えてくれた。 だってあの笑顔は 明らかにあたしを見て おもしろがってる。 「12番誰なの?」 「誰も反応してないよ?」 ざわざわと騒ぎだす教室。 ……本当は嫌だけど。 死ぬほどやりたくないけど。 でも―― 偽物の12番が 出てきてくれるはずもないから。 「――…はい……」 あたしはしぶしぶ 右手を上げた。   その瞬間、 にやっと笑った桜井君。 「…………」 桜井誠矢-サクライ セイヤ- この時が―― この男を やっかい者として 敵視した瞬間だった。    
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