1話 なれなれしい男

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「莉緒と組長? ……ははっ。 かわいそ。」 そう言った雄司の顔を あたしはわざと見なかった。 いちいちけなしに来たなら さっさとどっか行ってほしい。 あたしはドリンクのコップに ぎゅっと力を込めたまま じっと下を向いていた。 直感で…… 桜井君が ちらっとこっちを見ているのを 感じる。 「…………。 俺は別に、 自分が可哀想だなんて 思わねーけど?」 ……え…? 「…………」 「だって莉緒、 組長なんかに選ばれて 迷惑だって思ってそうだけど。 でもこうやって、 組長の仕事には きちんと協力してくれる。」 「……バカじゃねぇの。 こいつ、 こうやって座ってるだけだろ。 自分の意見言わねぇだろ。」 「別にいい。それでも。 ……莉緒はいい子だって 俺は思う。」    
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