第1章 エクストラ

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レジスタンス側も唖然としていた。 切り札である少女がまるで無力な子供の様に、憎むべきダークネスへと身を寄せていた事に。 「…どういう事だ?」 腕に切り傷を負った頭に角のある亜人、カリストが呟く。 「隊長!」 目前の狼の亜人を無視し、クロイツがギャザリンの前に、一足で跳躍し着地する。 距離にして20メートルは優にあった。 「…どういうつもりです?  それが、生物兵器の筈だ… 気付いてない訳では、ないですよね…?」 極力言葉を選んで問い掛けるクロイツ。 だが、そんな彼に、ギャザリンは漆黒の長剣の切っ先を向ける。 その態度に、クロイツは動揺を通り越し敵意を覚えた。 「…何のつもりだ?」 殺しを任務とする彼の忠誠心が殺意に切り替わるのに、然したる間は無かった。 殺意の籠るクロイツの口調からは、敬語が消えていた。 「気が変わった。  こいつを殺す気は無い。 そして、お前達に渡すつもりも無い」 ギャザリンは簡潔に、明確な意思だけを告げる。 しかし、それで納得するクロイツではない。
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