第1章 エクストラ

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「任務を放棄すると!?  それは、明らかな反逆行為だ!  それでは貴方の立場が」 「立場? そんなものに、俺は固執しちゃいない。  悪いが、抜けさせてもらう。 報告でも何でも、好きにすればいい。  但し…追えば全員殺すぞ?」 ギャザリンはそう言うと、後方に跳躍し森の中に消えて行った。 「隊長…  貴方は…っ!」 奥歯を噛み締めるものの、クロイツは追おうとはしなかった。 ギャザリンの冷酷さと実力を知るが故に。 他の騎士達も同様に動く事が出来ない。 これまで、ギャザリンの命令を従順にこなしてきたのだから。 今、『シーカー』の間で、指揮系統が成り立ってはいなかった。 レジスタンス側にとって、これは好機。 生き残っていた彼らは、アイコンタクトのみで三々五々、深い森に向け撤退して行く。 不測の事態、それも戦略と戦術に関してならば、個々が臨機応変な対応も出来ただろう。 だが、ギャザリンの裏切りという、彼らにとって有り得ない状況は、思考の範疇外にあった。 逃走するギャザリンと亜人達を目で追いながらも、彼らは途方に暮れるほか無かった。
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