第1章 エクストラ

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森の中を、少ない動作で木々を避けながら駆けるギャザリン。 舗装などされていない樹海の中、一足で数メートル移動しながら疾駆していた。 常人に出来る事ではない。 ギャザリンに明確な目的地は無かった。 だから、現状で必要な2点に気を配っている。 『シーカー』の隊員は、戦闘技術はもちろんの事、索敵や探索などの、戦略的な能力も行使出来る。 既に彼らの索敵範囲からは逃れているが、その効果範囲は広い。 出来る限り距離を取る必要が在った。 そして、方角。 国の先槍である『シーカー』が、生物兵器である少女の命を狙ったのだ。 それは国そのものの意思と言っても過言ではない。 王都から出来るだけ離れる事も必要だった。 「辛くないか?」 ギャザリンは腕に抱く少女を気に掛けていた。 まだ警戒を解いていない為、右手には長剣を握ったまま、左腕を少女の腰に当てて抱き上げ、駆け続ける。 不安定な体制に無理がかかっていないかと心配にもなる。 そんなギャザリンに、元気良く首を横に振って見せる少女。
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