第1章 エクストラ

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「そうか」 他人を気に掛け、自然な笑みを浮かべる。 人間味の在る感情に、ギャザリン自身戸惑いと驚きが在った。 自分に華奢な身体を預ける少女を前に、それは不快なものではなくて。 初めての慈愛を胸に、ギャザリンは樹海の中を駆け抜ける。 暫し速度を緩めず走り続けていると、前方に幾つかの生体反応がある事に気付く。 「『テラー』か… さすがに迂回するのも面倒だな。  …しっかり掴まっていろ」 ギャザリンの首に回していた手が、僅かに力を増す。 『テラー』とは、この世界『ティア』に順応する為に特異な進化を遂げた、野生動物を指す。 魔素は、この世界『ティア』の大地から溢れ、大気と混ざり合う。 大地に根差す植物は、魔素を取り込む事で成長を促進させ、それを口にする草食の『テラー』はそれごと取り入れる。 肉食の『テラー』は、その草食類を捕食する事で魔素を間接的に取り入れ、自身の生命力へと還元する。 新たな世界は、新たな生態系によって成り立っていた。 魔素の影響を受け、『テラー』の進化は早い。 適応力と、更なる捕食力を身に付けるべく、日増しに強靭さを増していくのだ。
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