445人が本棚に入れています
本棚に追加
/368ページ
かなりの距離を稼いだ所で、日も傾いた事から、ギャザリンとエクストラは河原付近で夜営をする事にした。
川魚を獲りギャザリンが焼き魚を振る舞うと、エクストラは元気にかぶり付き、黙々と食べていく。
時折、「おいし~」
と笑みを咲かせる姿は、ギャザリンにも同様の笑みを生み出す。
食事を終え、2人は寄り添いながら、薪が弾け火の粉の飛ぶ様を見詰めていた。
「…ねぇ?
まだ、聞いてなかったんだけど…
貴方の名前は?」
ギャザリンの黒いマントにくるまり、エクストラは思い返したかの様に口にする。
「そうか、まだ名乗ってなかったな…
ギャザリン・ホーク・シルバーツだ。
…はは、可笑しなもんだ。
お互いを何も知らずに、今はこうして一緒に居る」
ギャザリンの自嘲気味な乾いた笑いが谺する。
「そんな事無いよ。
あたしは、ギャザリンの優しさを知ってるよ?
過去や経歴が、その人の全てを決める訳じゃない」
「…エクストラ…」
屈託無く笑い掛ける少女の名を、躊躇いがちに口にする。
それが恥ずかしかったのか、エクストラは頬を染めて俯いた。
最初のコメントを投稿しよう!