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「そ、それに…
知らない事は、これから知っていけばいいよ。
その為の時間は、これから沢山あるんだから」
ギャザリンは改めて、エクストラを見やる。
年の頃は10代半ば程か。
腰まである長い紺色の髪は日も沈んだ夜の闇にさえ映え、顔立ちは幼さを残しつつも色香で魅せる。
肌は絹の様に艶やかで白く、ぱっちりと開かれた瞳はエメラルドの輝きを持つ。
その瞳は、この世のどの宝石よりも崇高に映った。
美しさとは、彼女の為にある言葉。
「…さっきの奴等との会話で、エクストラの気持ちは少し分かった。
お前はもう自由だ。
何も無理に俺と居る必要はない。
俺は亜人達に恨まれ、仕えていた国を裏切った。
今の俺には、敵しかいないからな。
このまま俺と居ても、常にリスクが付き纏う。
自由を求め、安寧を望むなら、これ以上俺と居るべきじゃない」
静かに、抑揚少なくギャザリンは語る。
そんな彼の漆黒の甲冑に触れ、エクストラはギャザリンの表情を覗き込む。
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