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「了解」
黒の騎士達がギャザリンの指示に応じる。
黒の一団は、昼の陽光の下に在りながら、纏う空気は暗く冷たい。
木々の間から射し込む木漏れ日も、彼らを明るく照らしはしない。
まるで少しの闇にさえ、溶け込んでいくかのよう。
「行くぞ」
彼らは進軍を開始する。
黒き殺意を内包しながら。
「シルバーツ隊長」
先行していた部隊と合流、その部隊を指揮していた人物がギャザリンを出迎える。
「クロイツ、敵の戦力は?」
「情報より多少多いですが、問題は無いかと。
ただ、奴等の拠点になっているあの遺跡ですが、内部状況が把握出来ません」
「問題無い。
俺が先陣を切る。
突入後、敵戦力を掃討しつつ目標を探す。
お前の部隊で外の敵勢力を殲滅しておけ。
退路が他にあるとは限らん」
クロイツの報告に、ギャザリンは臆面無く応える。
内部状況の掴めない室内戦。
動きが制限される上に、待ち伏せや罠など、不安要素は数知れない。
「了解しました」
だがクロイツはあっさりと従う。
単にギャザリンを信頼しているのか、それとも敵を過小評価しているのか。
その答えは、直ぐにも出るのだった。
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