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河原付近の草むらで眠りに落ちていたギャザリン。
照り付ける陽光に目を覚ます。
「エクストラ…?」
傍らで横になっていた筈の少女の姿が無かった。
代わりに、小気味良く聞こえる水面を弾く水の音と、時折水音に乗って軽やかに、穏やかな春風に舞う小鳥の鳴き声の様な笑い声が聞こえる。
身体を起こし河原に出てみると、水面ではしゃぐエクストラの姿があった。
それまで気に留めていなかった、エクストラの着る水色のワンピースの裾を靡かせ、水面で舞っていた。
水に濡れながら、水滴を弾く姿は幻想的ですらある。
ギャザリンは、あまりに楽しそうな姿に暫らく魅入っていた。
「あ…ギャザリン!
おはよう!」
「おはよう」
新鮮だった。
この、温かな気持ちが。
「いくら何でもはしゃぎ過ぎだろ?
ずぶ濡れじゃないか。
せめて服脱いでから入ったらどうだ?」
ギャザリンの発言に、エクストラは頬を赤くする。
「…えっち」
「いや、そういう事でなく…」
狼狽えるギャザリンを目にし、エクストラはつい笑みを溢す。
そんな反応に声を失い、脱力してしまう。
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