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「戦闘に於いて、敵の力量を測るのは当然だろう?」
敵。
その言葉を口にしながら、戸惑った。
目の前の存在は、自分の敵なんだろうか?
レザーナは抱えた憎しみを籠めて槍を振るってくる。
だが、自分は何の為に戦う?
命ずるものも無く、何故、自分は刃を振るうのか。
敵意を前に自然と剣を構える自分。
染み付いた反応をしているだけの、ただの人形に等しい。
「…っ!
俺は…」
浮かぶのは、エクストラが見せてくれたあの笑顔。
他者の命を奪った先に、彼女の笑顔はあるのだろうか。
「…レザーナと言ったな。
退け」
「なに?」
「お前では、俺には勝てない。
大人しく退け。
無駄に命を散らせる事は無い」
それで現状を回避出来るならと、ギャザリンは説得を試みる。
だが、その言葉はレザーナの神経を逆撫でしただけだった。
「くく…っ、勝てない、か…
お前は、何も分かっちゃいない。
命を賭して為さねばならない事が在る。
それは時として、自分の命より重い」
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